休業日:年末年始
対象地域:全国
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無料で好きなだけ通話やメールが楽しめるコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」を使用されている方は、3月31日に「新型コロナ対策のための全国調査」のメッセージが突然届き驚かれたのではないでしょうか。
3月30日に厚生労働省とLINE株式会社が協定を締結し、新型コロナウイルス感染状況の把握や感染拡大防止のための有効な対策検討に活用する目的で、5月上旬にかけて合計4回の調査が実施されました。
「どうしてLINE?」という疑問はありますが、日本国内において月に1回以上LINEを利用している人は8,400万人。そのうち1日1回以上利用している利用者の割合は、78%と非常に高いことがわかります(4月28日付けのLINEの公開資料より)。ある程度まとまった人数の国民を対象にした、短期間でかつ情報処理が容易なデジタルでの情報収集という点で、非常に優れた方法ではないかと思います。
また国民への情報提供を目的に厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症情報 厚生労働省」LINE公式アカウントを開設しており、東京都や大阪府など25都道府県も同様に開設しています。「新型コロナウイルス感染症情報 厚生労働省」では、実際に感染の疑いのある方などがすぐに医師に相談できるように「スマホでお医者さん相談」の項目を設け、「LINEヘルスケア」での24時間365日のオンライン相談*を6月26日まで無償提供しています。その他にエムスリー株式会社が運営する「AskDoctors」も選択でき、新型コロナウイルス・新型肺炎に関する医師への相談事例と医師相談*を無料で利用できます。※ 相談は、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の遠隔健康医療相談(医師)の範囲で実施。
「LINEヘルスケア」のサービスは、2019年1月4日にLINEとエムスリーがオンライン医療事業を目的として共同出資で設立した新会社であるLINEヘルスケア株式会社が提供しています。エムスリーについては、MR君などの医師向けサービスでご存知の方は多いのではないでしょうか。2018年7月現在、エムスリーグループの医師パネルは全世界で約400万人。また日本でエムスリーが展開する医療従事者向けサイト「m3.com」では、日本の臨床医の約9割にあたる27万人以上の医師会員、日本の薬剤師の半数超にあたる16万人以上の薬剤師の会員を有しています。
2019年1月8日のエムスリーのプレスリリースによれば、「・・・日本最大級の医療総合メディア「QLife」や医師相談サービス「AskDoctors」などの一般生活者向けソリューションを展開するエムスリーグループの医療分野における知見やノウハウを活かし、「LINE」を活用した医療に関するQ&Aや遠隔健康医療相談、オンライン診療をはじめとするオンライン医療事業を展開してまいります。まずは、2019年中に、遠隔健康医療相談サービスの開始を予定しており、さらに、法整備の進展を見ながら「m3.com」の薬剤師会員基盤を活用した処方薬の宅配サービスなども検討していく予定です。」と記載されています。
「LINEヘルスケア」には、5月中旬時点で新型コロナウイルスに関する相談に対応している医師が400名強います。医師ごとに顔写真(希望者のみ)、相談回数、年齢、経験年数、自己紹介、診療科、専門分野、経歴、専門医等の資格などのプロフィールが掲載されており、利用者は選択することができます。利用方法は、LINE上からチャット形式で医師に相談できる『いますぐ相談』と、テキストメッセージで詳しく医師に相談できる『あとから回答』の2種類のオンライン健康相談があります。
同社が3月25日~26日下旬に実施した日本全国の15歳~59歳の男女を対象にしたアンケート調査では、「オンラインで医師へ健康相談が出来るサービスを知っている/聞いたことはありますか?」という問いに対して34.2%が「はい」と回答、認知者は3割を超えています。その後、厚生労働省や自治体とのパイプ作りに成功したことで、同社の遠隔健康医療相談の認知度は更に大幅にアップしているのではないでしょうか。
これから長く続きそうな「Withコロナ時代」、何か不安に思ったら「まずはオンラインで医療者に相談し、必要に応じて医療機関を受診しよう」という文化が定着すれば、本来医療機関に来る必要のない患者がスクリーニングされますので、医療現場の負担が減ることに繋がります。ただ一方で外来患者数の減少によって、経営が厳しくなる医療機関が出てくるかもしれません。
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための時限的・特例的な対応として、厚生労働省は4月10日に電話やオンライン診療システムなどの情報通信機器を用いた初診を解禁しました。具体的には、①医療機関への受診歴がない患者に対して、初診を行うケース(初めての患者の初診)、②過去に受診歴はあるが、現在は定期受診していない患者に対して、初診を行うケース(受診歴がある患者の初診)、③定期通院中の患者に対して、新たに別の疾患・症状についての診断や処方を行うケース(再診患者の新たな症状への対応)の3パターンです。それ以前に再診についても時限的な措置として、④高血圧患者の血圧上昇など想定内の症状変化に対する薬の追加や変更(再診中の処方変更)、⑤定期的に受診している患者への処方の継続(再診中の処方継続)を、電話や情報通信機器を用いて行うことができるようにしました。
更にその普及のために、厚生労働省や自治体のホームページにおいて、電話や情報通信機器を用いて診療を実施する医療機関の一覧を開示しており、複数の民間事業者が開示情報に基づいた対象医療機関の検索サイトを作っています。医療機関の直接受診による感染を不安に感じる患者は、積極的にオンライン受診先を探すのではないでしょうか。
「Withコロナ時代」が長期間に亘れば、オンライン診療という新たな選択肢が長期間利用され普及することで、時限的・特例的という制限は雲散霧消してしまい、特に再診患者については利用するのが当たり前になってしまう可能性はないとは言えません。
LINEヘルスケアのサービスは、現時点においてはLINEの8,400万人という利用者向けの「遠隔健康医療相談」機能の提供で留まっていますが、今後は図表のように相談者の居住地近隣のエムスリーの医師会員等の医療機関の紹介及び「診療予約」、その後の通常診療や「オンライン診療」、薬剤師会員が運営する薬局等による「オンライン服薬指導」といったサービスが一気通貫で繋がる可能性が見えてきます。
これまで海外と比較して進んでいなかった日本のテレワーク、オンライン教育・学習・研修や、紙とハンコ文化などが一気に変化する兆しがあり、さまざまな分野・業種で想定していなかったパラダイムシフトが起こりそうです。医療の分野も例外ではないでしょう。医療機関の経営者は「Afterコロナ時代」を見据え、「Withコロナ時代」の間に準備をしておく必要に迫られているのではないでしょうか。
図表 LINEヘルスケアの事業内容のイメージ
出典:LINEヘルスケア株式会社 Websiteより
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