IMC株式会社  池田医業経営研究所

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医療制度改革に向けた保険者への期待 

普段の医療機関向けのコンサルティング活動で感じることは、医療の業界は医師(サービス提供者)主導で政策や運営が進められており、その状況をこのまま継続していくのが果たして良いのかということです。


医師のなかには一国民の視点で医療や介護のあり方について考えている方々も多くいるのは知っていますが、一方でそれが国の医療政策に影響を及ぼす医師会等の団体の統一見解になると、どうしても医療提供者寄りになっているように感じます。ただ医師会をいわゆるひとつの業界団体と考えれば、嘆いても仕方のないことです。


もちろん日本医師会が言うところの各医師会や医師のプロフェッショナルオートノミーに期待したいところですが、最近のニュースをみているとそれは非現実的にも思えます。臨床研究の利益相反問題や千葉県がんセンターや群馬大学附属病院の腹腔鏡手術の事件はあくまで氷山の一角であり、当事者に問題解決を委ねても根本的な解決には残念ながら至らず、何年か後にまた同様のことが発生しても業界関係者の誰も驚かないのではないでしょうか。

また大きな事件でなくても身近なところで、診療報酬明細書等の審査をしている医師と話をすると、診療ガイドラインから大きく外れた診療や投薬を平気でしているような危険な医師がいるような話も聞きます。ただそのような場合、請求が削られるだけで、それ以上のことがなされるわけではありません。質の低い医師が、ちまたに放置されているという怖ろしい状況です。


そこで私は、医療提供者寄りになりがちな医療介護の政策や公的保険制度の運営を国民にとってより良いものにするために、患者であり被保険者である国民の声を代弁すべき保険者の役割にもっと期待したいと考えています。

保険者は、医療機関や歯科医療機関からの診療報酬明細書、薬局からの調剤報酬明細書を審査する立場にあり、医療機関が提供する診療の内容や場合によっては質、被保険者の医療機関へのかかり方まで把握することができます。特に協会けんぽなどは日本全国を面で把握することができるのではないでしょうか。


厚生労働省がデータヘルス計画を進めていますが、残念ながら被保険者に対する保健事業が中心になっているようにみています。また現行の高齢者医療への負担金のあり方など健康保険組合にとって経営努力をするインセンティブが働きにくい制度の問題などもあります。そのような制度の問題も踏まえて、私自身保険料を支払っている一披保険者として、各保険者が医療機関や医師団体等のカウンターパートとして果たすべき、果たすことのできる役割について今後の活動において何らかの形で提案できればと考えています。