休業日:年末年始
対象地域:全国
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最近は「新型うつ」なる精神疾患が登場しており、「自分の境遇を周囲の人や環境のせいにする」という、とてもやっかいな病気である。そのような職員が一人でもいると、医療機関の雰囲気は変わってしまう。
医療機関は大企業と比べて、職員数も少なく人事異動をするのも難しいし、代わりの職員がうつになった職員の代替をするのも難しい。普段から予防のために職員を元気にする工夫をするのは、医療機関にとって大切なことである。
日経ビジネス2013.1.28号にて、「働きがいのある会社」を特集している。定義は、「従業員が会社や経営者、管理者を信頼し、自分の仕事に誇りを持ち、一緒に働いている人達と連帯感を持てる会社」としている。
と言っても漠然としているため、具体的にマネジメントと従業員の間の「信用」「尊敬」「公正」、従業員同士の「連帯感」、従業員が仕事に持つ「誇り」の5つの要素で評価している。
5つの要素を高めるための方法を、私なりにまとめると、コミュニケーションを良くする。良くするための仕組みを取り入れ、定着させることである。同じ医療機関でも、部門が異なると知らない人同士で話をするようなきっかけはなかなかない。強制的にコミュニケーションを図らせる、おせっかいをやくことが、職員を元気にする秘訣のようである。
具体的な企業の事例が掲載されていたので、医療機関に置き換えて紹介する。1.「現状に満足せず、変わり続ける」
職員の声を吸い上げる仕組みを作る。職員向けのアンケートを作って、その結果を共有する。問題があれば改善する。職員満足度調査を年に1度程度は実施している医療機関はあるかもしれない。ただアンケートで出された問題点の対応が職員に目に見える形で実施されないと、「言っても無駄」と逆効果になってしまう。
2.「縦、横、斜めの交流を強制的に行う」
各部門長と職員が昼食を共にしたり、新入の職員が早く医療機関に溶け込めるように、入植後1か月以内に異なる部署の人と話をする制度を設けたりする。
3.「トップが時間を割いて現場社員と話す」
ミーティングの機会を優先的に定期的に作り、職員の生の声を聴く、より患者さんに近い職員を通した顧客の生の声を聴く。職員に日々の貢献に感謝の意を表する。日頃から職員との壁をなくす努力をすることで、何か問題が生じたときに、話がトップの耳に入りやすくなる。
4.「採用は理念を共有することができるかどうかを重視する」
理念が共有できるかどうかは、医療機関にとっても採用された職員にとっても大切なことである。入ってみたら、「こんなはずじゃなかった」というのはお互い不幸だ。
ではどう見極めるのか? 現実は難しい。インターン活動など、「素が出やすい環境」を作って評価する方法はわかりやすい。ただ小規模な医療機関の場合、インターン受入は難しい。「こういうときはどうする?」と具体的なケースをいくつか質問し、その回答が自院の理念、行動基準に沿ったものかどうかで、判断するような方法もある。
5.「経営情報をオープンにする」
隠し事をしない経営状況が良いときは問題ないが、一旦悪くなると「経営は大丈夫?」と疑心暗鬼になる職員も出てくる。患者が減ったりすれば、現場はわかるものである。ただ人によって、実態より悲観的にとらえたり、楽観的にとらえたりする。声の大きな職員が事実誤認してしまうと、誤った情報が誠しなやかに流れてしまう。普段から経営状況を開示しておけば、職員も安心する。
企業の事例ではあるが、医療機関が取り入れるのに、大きな投資が必要なわけではなく、その気になればいつでも始められることばかりである。年度が替わった時にでも、できることから始めてみるのはいかがでしょうか?
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